パッシブソーラーハウスとは、特別な装置や設備を使わないで、地形や立地条件、周辺環境を考慮しながら受動的に太陽エネルギーを利用する住宅のことをいいます。
パッシブソーラーハウスは、太陽エネルギーを熱として蓄えて、建物の室温調整に用いる方法で、建物の開口部を大きくするなど、蓄熱材や断熱材を効果的に用いたりするパッシブデザインの1つとされています。
パッシブデザインとは、建築のデザインによって建物内外に生じる熱や空気や光等の流れを制御して、さまざまな効果を得るように設計するものをいいます。パッシブデザインに得られる効果とは、暖房効果や冷房効果、照明効果などのことで、これは、設計的手法を適切に組み合わせることによって建物の性能を高めます。
設計の際には、対象地域の気候や風土を把握して、利用可能な自然エネルギーと、防御しなくてはならない要素を確認し、工夫による性能をチェックする手法とされています。
なお、パッシブソーラーは、太陽エネルギーを活用したソーラーハウスの技法のひとつのことで、特別な装置や機器などを使用せずに、太陽熱を建物に取り入れるシステムのことをいいます。
パッシブソーラーでは、建築物の構造や間取り、方位などを工夫することで、室内の温熱環境を調整することができます。開口部から差し込んだ太陽光をコンクリート、レンガ、タイル、水タンクなどの蓄熱材に当てて集熱し、その輻射熱や空気の対流を利用して部屋の暖房に利用します。代表的なものにダイレクトゲイン・トロンプウォール・付設温室の三つのタイプがありますが、ダイレクトゲイン方式がもっとも普及しています。ソーラーハウスには、太陽エネルギーを活用して採暖を行う住宅のことをいいます。
パッシブソーラーは、集熱装置、送風機、太陽電池などの装置を使わずに、温熱環境を制御する「受動的」システムですが、これに対して、太陽光発電や太陽熱温水器のように、特別な装置を使って太陽エネルギーを取り入れることをアクティブソーラーといいます。
なお、ソーラー住宅については、住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づき、財団法人建築環境・省エネルギー機構(IBEC)が認定した住宅のことをいうことがあります。